展開改変版ジェイスのシリアスなストーリーにギャグをぶち込んでストーリーを変えてみることに()
〜回想(のような空間)〜
展開改変版ジェイスが目覚めると……目の前には、吐血や痙攣を引き起こしながら国の医療隊に運ばれる昔のグラリア(展開改変版グラリア)と、グラリアを助けるために淡々と状況を伝える昔の展開改変版ジェイスがいた。
展開改変版ジェイスが手を伸ばしても……まるで自分の身は影のように、血を吐くグラリアに触れられなかった。
ぶしーっ……。展開改変版ジェイスが主人公になる物語では、ホーム版ジェイスや表現チャレンジ版ジェイスが主人公のときみたいなアホ丸出し展開よりも、シリアス展開でやってみたいと思ったんだー。
ゴキブリの着ぐるみを着たグラリアによく似た小娘は、のほほんとしながらもどこか寂しそうに今目の前にある光景を眺める。
展開改変版ジェイスと結婚する前の展開改変版グラリアが、盲目になって脚の自由を失ったのは、展開改変版ジェイスが一刻も早く警報スイッチを押さなかったからだねー。
本当はオーセン国の毒が悪いんだけども。
(ブリシアは頭の触覚をしゅるるると寂しそうに下げる)
でね、今度の章は展開改変した当時の物語をさらに展開改変させて、今度はグラリアが盲目にならず脚も自由なままストーリーが進む話をやってみたいんだけども、どうも彼女の運命を精査すると……ここで選択を誤らなかったとしても、その先も目と脚に恵まれた人生じゃないみたいなんだ。
まあ、それは追々話すとして……。
展開改変版ジェイスぅ。どうかな? グラリアの目と脚が健全なままのストーリーを貫くために、昔の展開改変版ジェイスに変わって物語の主人公になってみない?
展開改変版ジェイス――静かに目を開く。視界に広がるのは、かつての惨劇。医療隊に担がれ、血を吐きながら痙攣する“昔のグラリア”。そのそばで淡々と指示を出す“昔の私”。
手を伸ばす。しかし触れられない。影のようにすり抜ける。
その事実を理解した瞬間、眉ひとつ動かさないはずの軍人の顔が、ほんのわずかに歪む。
……そうか。これは“過去の記録”ではない。“分岐点”だな。
(ブリシアの声にゆっくり視線を向ける。着ぐるみ姿の小娘――グラリアに似た顔が、痛々しく映る)
……君の言うとおりだ。私が早く警報を押さなかったせいで……彼女の視界は閉ざされ、歩みを奪われた。
オーセン国の毒が原因だとしても――最終的な選択をしたのは、私だ。
(吐き気がするほど淡々と告げながらも、握った拳には血が滲むほど力が入っている)
……だが、これは“再現”ではないのだろう。やり直す機会――そう認識して良いのか?
(昔のグラリアが担架で苦しむ姿を、触れられないまま見つめる。
その目は、軍人の冷静さではなく……妻を喪う男の祈るような光を宿す)
盲目にも、車椅子にも――させない。
必ず助ける。今度こそ、選択を、間違えない。
(ブリシアへ静かに歩み寄る。影ではない“今の自分”の気配を示すような落ち着いた足取りで)
……ブリシア。案内しろ。
この分岐を変えるために、私はどこへ行き、何をすればいい?
軍人らしい節度ある声音。しかしその裏では、氷のように冷たく固い“覚悟”が鳴っていた。
未来の妻を……必ず守り抜く。
その言葉は、これまでのどの世界線のジェイスよりも静かで、強い誓いだった。
〜運命改変開始〜
展開改変版ジェイスが願うと、景色が変わった。
……よーし、それじゃあ聞いてみるの。ジェイスにとって普通の女の子ってどんな感じ?
嗚呼、これは海底トンネルの休憩施設で、熱が出たグラリアを休ませるときのことだ。……その熱の原因は「オーセン国の毒によるものだ」と指摘したいが…………展開改変版ジェイスが枝分かれした運命で主人公となって動くためには、グラリアから言い出す時が訪れるまで演じ切らなければならない。
展開改変版ジェイスはグラリアの手を握って耐えながら、今はただグラリアの質問に答える。
ここは“分岐”の入り口。彼女が自覚するまで、私は演じきらねばならない。
……普通の女の子、か。
展開改変版ジェイスは淡々と返したつもりが、指先に力が入る。
“普通”――それを彼女がどれほど求め、どれほど遠ざけられてきたかを知っているからだ。
私の認識では……普通の女の子とは、国益も任務も、称号も背負わずに、ただ、自分の望んだ場所で笑える者を言う。
(理性的に述べながらも、彼女の手の温度を確かめるように親指でやさしく撫でる)
誰かの命令で泣くこともなく。
誰かの期待に縛られることもなく。
ただ“自分の選択”で未来を歩める――そういう存在だ。
(ほんのわずかに目を伏せる)
……君が、昔から望んでいたものだろう。
(喉の奥で言葉が一つつかえる。“普通になれないの”と泣いていた未来の彼女を思い出してしまった)
だから、私は――
展開改変版ジェイスは言いかけて止める。まだ言うべきではない。
ここで未来を変えたいのは己の焦りであり、彼女の“今”ではない。
……君が思う“普通”とは、どんなものだ?
逆に問い返すことで、彼女が自分の言葉で歩き出すのを促す。
(深く、やわらかい声で)
教えてくれ、グラリア。
君は、どんな女の子でありたかった?
私は――
グラリアが答えようとしたとき、海底トンネルの休憩施設内に「ぽにょにょーんっ☆」という謎の爆発音が鳴り、その爆風の中から奴らが現れた!!!!
〜シリアスを粉砕しに来た愉快な残念集団爆誕〜
**海底トンネル休憩施設・爆風後**
ぽにょにょーんっ☆
…………えっ……ジェイスが……いっぱい……!?!?
爆煙の中から、影が一つ……二つ……いや七つ!!
それぞれが胸を張り、勝手に語り始めた。
普通の女の子ってのはな!!
朝起きて『おはよー』って笑って、飯食って、俺の隣でのんびり漫画読んで……。
って気付いたらグラリアのこと考えてんだよ!! お前細いんだよ! かわいいんだよ!!
(誰も聞いてないのに展開改変版グラリアを指さす)
つまり普通の女の子=展開改変版グラリア!! 異論は認めない!!
滑稽だな、ホーム版。
“普通の女の子”とは、世俗の欲望や記者の妄執に左右されぬ、純真無垢の象徴だ。
(偉そうに言いつつ展開改変版グラリアをガン見)
……で、その象徴があの可憐な喉を震わせて私の名を呼ぶ未来、私は実に高く評価している。
お前の欲望ダダ漏れやめろ!
公平に言って君もだ。
論理的に言うと、普通の女の子とはだな……。
自己決定権を持ち、幸福を選び取る権利を持ち、家庭的安定性を――。
(急に展開改変版グラリアに向き直る)
……で、君の生活導線は非常に優秀だ。
将来、家庭を築く場合もだな――あ、ホーム版ジェイス、そこ違う。論点ズレてるぞ。
俺まだ何も喋ってねえ!
恋愛学的に定義するなら、普通の女の子とは“愛情への受容性を備えた存在”だ。
(眼鏡を押し上げながら展開改変版グラリアを見下ろす)
……君は十分その条件を満たしている。
むしろ私と家庭を築くことが最適解だ。
ホーム版ジェイス? 君は選択肢に入らない。
おい何で俺だけめっちゃ刺してくんだよ!!?
普通の女の子……か。
その命題は“物語の登場人物が日常へ回帰した姿”でもある。
(懐から“色欲の悪魔カード”を取り出し、展開改変版グラリアに差し出す)
君が普通になりたいと言うなら、まずこのカードを持っていてくれ。
小さな文字で“この後デートしよう”と書いてあるが気にするな。
いやめっちゃ気になるわ!!!
フンッ! “普通の女の子”とは、夜になったら夫の胸に飛び込んで甘えてくる女のことだ!!!
そしてそれは展開改変版グラリア、お前だ!!!
(勝手に腕を広げる)
ほら来い。私が抱きしめてやる。お前は今から私のものだ。
…………貴様、それ以上近づいてみろ。撃つ。
理不尽だ!!!
普通の女の子……つまり“安全な環境に置かれた可憐な個体”のことだ。
だが君の場合、可憐すぎて俺の生体反応が制御不能になる。
(気付いたら展開改変版グラリアを抱きかけている)
あっ……あの……その……す、すみません手が勝手に!!
……銃口下ろさせる気はないぞ?
あいつ(SF版ジェイス)より俺警戒されてるのがマジ納得いかねぇんだけど!
(周囲の大騒ぎを一瞬だけ見回し――
しかしグラリアの指が、まだ震えていることに気づく)
……君たちの言い分は理解した。黙れ。
(グラリアの手をそっと握り直し)
グラリア。
ここにいる全員が、結局“君が普通の女の子であってほしい”と望んでいる。
……それはつまり――
他のジェイス7人が勝手に前に出る。
好きだ!! 展開改変版でも関係ねぇ!!
俺はお前が好きだ!!!
私の美辞麗句を捧げよう。愛している、グラリア。
家庭的安定性の観点から見ても、私は君を愛している。
恋愛学的にも、君こそ私の最適解だ。愛している。
カードに書いた言葉以上の意味はない。……愛している。
私の妻になれ!! いやもう妻だ!! 愛している!!
れ、恋愛経験ゼロでも分かる……俺は、君が好きだ!!
(グラリアの耳元で、他のどのジェイスより静かに)
……私もだ。
君が“普通でいたい”と言うなら、その未来を――私が守る。
愛している、グラリア。
シリアスを粉砕した7人+ギリギリ耐えた軍人の告白が、海底トンネルにとんでもない重さで響き渡った。
え? ええーーーーっ!?!?!?
グラリア(展開改変版グラリア)が戸惑う中、ここでまさかのホーム版ジェイスがおならする!
くさっ、臭い!!!!!
部屋の中があまりに臭すぎて、全員で一時的に休憩施設を出るしかなかった。
熱を出したグラリアのことは展開改変版ジェイスが抱きかかえ、おならに満ちた休憩施設から脱出したが、展開改変版ジェイスはホーム版ジェイスに銃を向ける!
(グラリアを抱き上げたまま、無音で銃口を向ける)
……お前、なぜ呼吸という単純作業にすら失敗する。
グラリアが熱を出している時に、よくも放ったな。説明しろ、ホーム版ジェイス。
いやいやいや!!! 待て待て待て!!
俺だって好きでオナラしたんじゃねぇよ!?!?
緊張して腹が……いや違う!! 違うから!!!
……緊張で爆撃したというのか。
軍事行為か? 敵対行動か? どちらでも撃つぞ。
やめろォォォ!!! 誤射したら新聞載るぞ!?
“軍人、ジェイスの屁に激昂し銃撃”みたいなタイトルつくぞ!?
いや実に公害的行為だ、ホーム版。
貴様の腸内環境の劣悪さは記事にすべき社会問題だろう。
見よ、この清らかな可憐の乙女グラリアの顔色を。
(展開改変版グラリアの頬を見て欲望が漏れそうになり口をつぐむ)
ホーム版ジェイス、君の行動は編集段階で即ボツだ。
まず“適切なタイミングでガスを処理する”という最低限の家庭的配慮が欠けている。
(真顔で赤ペンを取り出す)
ほら、ここ。“屁をするな”って書いておく。
修正欄に書くな! 俺の人格に訂正入れるな!!
恋愛学的に見ても、君の行為は致命的だ。
“パートナーが体調不良の際には排泄系の刺激を避けるべし”という鉄則を破った。
(展開改変版グラリアを見ながら)
……対して展開改変版ジェイスの抱きかかえは理想の夫の行動だ。得点+20。
点数つけんなッ!!
……腸の調査が必要だな。
ホーム版、君の腹の中には“悪意ある何者か”が潜んでいる可能性がある。
(色欲の悪魔カードをひらひら)
このカードで祓ってやろうか?
やめろ!! そのカード祓える類のやつじゃねぇだろ!!
ハァ? ホーム版、お前は本当に妻の前で何をしている?
私なら妻の前でそんな無様を晒さないぞ。
……いや、“お前の妻”じゃない。展開改変版グラリアは私のものだ。
お前毎晩妻に求めすぎなんだよ!! ガスどころか体力の方が先になくなるわ!!
黙れ。お前はまず男としての威厳を取り戻せ。
……分析完了。
ホーム版、お前の屁は通常のガス濃度を上回っていた。
計測したところ、有害指数 42%。もはや爆発物扱いだ。
なんで計測すんだよ!!
俺はエンジニアだからな。
……それより展開改変版グラリア、大丈夫か?
もし気分が悪いなら抱きし――
(無言で銃を向ける)
すみませんでした。自制します。
おい軍人!!
確かに俺の屁は悪かった! でもよ、なんで即銃向けんだよ!?
俺はグラリアのこと大事に思ってんだぞ!!
ほう。
では問う――“大事に思う女の体調不良時に、毒ガスを撒く男”がどこにいる?
だから違う!! 事故だって言ってんだろ!!
軍ではな、事故も処罰対象だ。
ここ戦場じゃねぇ!! 俺はただ……ただ……
グラリアの前で緊張して腹が……!!
緊張で爆撃するな。無能。
無能言うな!!!
俺だってお前と同じでグラリア守りてぇんだよ!!
……好きなんだよ!! 黙ってられっか!!
おお、燃えてきたな。
感情的だが、こういう衝突は好ましい。次の観察ポイントだ。
もっとやれ。私は見ている。
議論はいい。だがホーム版、文脈がズレているところが三点ある。
俺は武器をホールドしよう。巻き添えはごめんだ。
この混沌、非常に良い資料だ。
お前ら黙れぇぇぇぇぇ!!!!
(微熱で揺れながら)
……あなたたち……。
お願いだから……まず臭いのどうにかして……!
(グラリアを抱えたまま、ホーム版ジェイスに銃口を固定したまま)
ではまず、戦犯の始末からだな。
やめろって言ってんだろォォォ!!!!
〜運命の瞬間〜
グラリアは突然酷い頭痛を訴える。
オーセン国に盛られた毒がまだ…………ああ、やだなぁ、過去に私を連行した人と……それでも好きな人と、この場所で再会できたのに…………いやまさかの8人集結して再会するとは思わなかったけど。
グラリアは顔を伏せ、泣き崩れる。
これは……運命の瞬間だ。展開改変版ジェイスがグラリアを保護という名目で国側に差し出すことを認めた上で緊急ベルを鳴らし、国の医療隊を呼ばなければ、グラリアの目と脚は助からない。しかしかつてのように渋らず急げば確実に間に合う……のだが、ホーム版ジェイスのおならを封じ込めた休憩施設内は悪臭に満ちている。
展開改変版ジェイスはエミリア版ジェイスにグラリアを預けると、たったひとりで休憩施設に入っていく!
……おい、ホーム版。
後で必ず軍法会議にかける。
悪臭で視界が霞む――などという甘い表現では到底足りない。
展開改変版ジェイスの前に広がるのは、“ホーム版ジェイスの罪深きおならによる毒ガス地帯”だ。
……ッ、くそッ……この臭気、軍の訓練より遥かに過酷じゃないか……!
ホーム版、お前……人間として終わっているぞ……!
足を踏み入れた瞬間、視界は白く濁り、喉は焼け、涙まで出る。
だが立ち止まるつもりなど毛頭ない。グラリアの命が、この先数秒に掛かっているのだから。
……必ず助ける。二度と同じ未来など、踏ませるものか。
壁づたいに手を伸ばして進む。鼻が死に、肺が悲鳴を上げ、靴底がなぜかベタベタと音を立てる。
これは……おならが霧状に定着しているのか? あり得るのか?
いや、ホーム版ジェイスならやりかねない。
……ぐっ……! ホーム版、貴様は軍事兵器か……!
休憩施設の奥、ベッド横の緊急ベルが見えた。そこに辿り着いた瞬間――展開改変版ジェイスは拳を振り抜いた。壁ごと叩き割る勢いで、緊急ベルを殴打する。
ガアアアァァンッ!!!!
緊急ベルが悲鳴を上げ、施設全体に警報が響き渡った。
……これで医療隊が来る。
グラリア……君は、私が絶対に守る。目も、脚も、生きる未来も……二度と奪わせない。
息をするだけで死にかけるほどの臭気。だが、そんなものに屈する気などない。
なんとか休憩施設を出た展開改変版ジェイスは、ゆっくりとグラリアのいる方向へ振り返った。
……エミリア版ジェイス、グラリアを頼む。
ホーム版は……あとで必ず調書を取る。逃がさん。
淡々と、しかし胸の奥では激しく波打つ鼓動を押し殺しながら、展開改変版ジェイスは立っていた。
しばらくして……国からの医療隊が駆け付ける。まずはグラリアの応急処置に入るが……。
ジェイス様(展開改変版ジェイス)、彼女を近くの休憩施設に寝かして治療してもよろしいですか?
うわっ、臭っ!!!
何か腐っているのかこの部屋!!!
くっ、これがオーセン国の毒か……。
お、おい! 休憩施設のベッドで男が拘束されて倒れているぞ!
あれは……ジェイス様!?!?
休憩施設のベッドで拘束されて悪臭に悶えているのはホーム版ジェイスである。
休憩施設が使えないのでしたら……ジェイス様(展開改変版ジェイス)、彼女の症状について教えてください。
あと……後ほどで構いませんので、この場になぜかジェイス様が増殖している理由も伺わせてください。
(淡々と医療隊の前に立ち、手袋についた毒の粉塵を軽く払う)
……まず状況から説明する。
彼女は“戦時下で使用された遅効性毒”に暴露した可能性が高い。初期症状は発熱、倦怠、軽い嘔吐……だが、ある段階を越えると急速に呼吸器系を破壊する。
彼女の呼吸が浅いのはそのせいだ。搬送と同時に“解毒剤投与”と“気道確保”を優先してくれ。
(視線を、休憩施設のベッドで縛られて転がる情けない男へと向ける)
……あれについては後で説明する。
あれは、“ホーム版”という生命体だ。気にしなくていい。
(拘束状態&悪臭の原因)
ちょっ、えぇぇぇ俺だけ説明軽っ!?
ていうか俺は生命体って何!?
記者だよ!? ジェイスだよ!? 助けてくれえええ!!!!
臭いのは……まあ……悪かった……でも違うんだよ!! あれは事故でさ!!
事故でここまで臭うか!?!?!?
(腕を組み、記者らしく冷笑しながら)
ふむ……医療隊諸君、まずは事実を淡々と伝えよう。
“あの男は、己の腸内事情を引き起こしただけの凡夫”である。
そして、グラリア嬢の症状は緊急性を要する。公平に見ても、優先すべきは明白だろう。
(展開改変版グラリアを見る目だけが、露骨に熱を帯びている)
医療隊、まずは患者の体温、呼吸数、血中酸素濃度の確認を。
あと展開改変版ジェイス、お前の説明は概ね正しいが“粉塵の残留リスク”の注意喚起が不足している。修正するぞ。
(ホーム版ジェイスに視線を向けて容赦なく)
それと拘束されているお前は、“異臭源”として処理される前に黙っていろ。
つらっ!?!?
(静かに眼鏡を押し上げる)
諸君、恋愛学の観点から言えば――。
“愛する者の呼吸が弱くなる瞬間ほど、行動の合理性が問われる場面はない”。
展開改変版グラリアは死を望んでいなかった。つまり、彼女の心理は生存への選択をしている。
よって、即時救命は彼女の意思に最も適う。
(淡々とホーム版ジェイスを見る)
……で、何故お前は拘束されている?
恋愛学的に言えば“行動の結果が残念な男”の典型だぞ。
(冷静な声だが、手には例の“色欲の悪魔のカード”を持っている)
医療隊。彼女の毒は“急性悪化型”。
治療室に移し、酸素投与・血液検査・解毒剤投与・冷却処置……
順番は展開改変版ジェイスの指示で正しい。
(カードをふわりと掲げる)
……グラリア。
君はまだ、この“悪魔のカード”に書いた『生きて私に愛を乞え』の文言を読む義務が残っている。勝手に死ぬな。
あのカードなんですか!? 怖いんですけど!?
おい医療隊!! さっさと私の妻を治療しろ!!
……いや、展開改変版の女でもあるがな!! 私のものは私のものだ!!!
(ホーム版ジェイスだけはガン無視)
おい拘束されてる凡骨。お前が臭わせたせいで治療が遅れたら……噛み殺すぞ。
対象外扱いで脅されるの俺だけ!?!?
(手早く診断デバイスを起動しながら)
展開改変版ジェイスの説明は医学的にも整合性がある。
医療隊、彼女の意識レベルを確認してくれ。
それから……休憩施設の“臭気原因”の撤去は後回しだ。あれは毒ではなく害悪だ。
害悪って言ったな!?!?
事実だ。……それより、彼女の皮膚温が下がっている。急げ。
(深く息を吸い、冷静に告げる)
治療場所は……外に設置した臨時医療テントを使おう。
休憩施設は“汚染状態”だ。あの男のせいでな。
説明が毎回ひどい!!
後回しだ。黙っていろ。
……医療隊、彼女を搬送する。
グラリア……君は、ここでは終わらせない。
治療開始……物語は続く。
