〜現実世界(いろいろあったあと)〜
ジェイスが目覚めたのは、現実世界だった。ようやく元の世界に戻ったところで、グラリアはどこだと探したら「ここよ」と伸ばしてきた手があった。だが……。
あうあー
何だ……グラリアと俺の子か…………え、この子、左手に結婚指輪を握ってるんだけど!?
そのとき、ボフン!と音を立てて別の世界線のジェイスらが登場する!
〜ホーム版の家〜
展開改変版ジェイス、表現チャレンジ版ジェイス、エミリア版ジェイス、恋愛相談版ジェイスは、赤ん坊を抱えたホーム版ジェイスを見るなり「避妊伝説を誇るホーム版ジェイスがあり得ない!」と非難する!!!
……報告書に記すべきだな。“避妊伝説、陥落す”と。軍の記録にも残す価値がある。
まさか君が赤子を抱く日が来ようとは、誰が想像しただろう。
ホーム版ジェイス、取材班が動揺しているぞ! “子だくさん伝説”は私の世界線の専売特許だったはずだ!
しかもホーム版グラリアが赤子化……これは記事にせざるを得ない。“避妊伝説の陥落──赤子の笑顔が世界を救う”だな。
おいホーム版の俺、どういう校正だそれ。構成ミスも甚だしい。奥さんが赤ちゃんになる? 設定崩壊もいいとこだ。編集者として言わせてもらうが、もっと構成を整えろ。
……いや、待て。俺の世界のエミリアに見せたら“かわいい~”ってなるかもな
ふむ、これは“育児的愛”と“性愛”の交錯を示す哲学的事象だ。
ホーム版の君、つまり“知の不具合体”だよ。避妊伝説を失ったとしても、それは知的繁殖の勝利だ。
君の理性は、もはや生殖本能に敗北した。素晴らしい、人間的だ。
お前ら全員うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!💢💢💢
俺は知らねぇよ!! グラリアが突然“あうあー”とか言い出して赤ちゃんになってたんだよ!!
俺が何した!? 何もしてねぇよ!? 記者として取材したいのは俺のほうだわ!!!
(抱いている赤ん坊グラリアを必死にあやす)
お、おいグラリア! 頼む、記憶戻ってくれ! お前がいないと俺はもう……!」
(ニコッと笑って指輪を握る)
やめろおおおおおお!! その笑顔反則なんだよおおお!!!😭
あぁもうダメだ、可愛すぎて現実がバグるッ!!!
ホーム版ジェイス、涙と絶叫の中で孤独のぴょんぴょんを発動!
現実世界が白く染まり、他のジェイスたちも巻き込まれていく──。
全兵、退避──ッ!
現実世界、崩壊するぞ!
ぴょんぴょんの記録を……っ、残せ……!
この現象こそ、愛と混乱の芸術……!
うわあああ!!
文字が崩れて原稿がぁぁぁっ!!
なんという……“愛の爆心地”……!
人類はここで理性を失うのだ……!!
(崩壊する世界の中心で)
グラリアあああああ!!
お前が赤ちゃんでも、お前が俺の妻だってことだけは絶対に変わらねえからなあああああ!!!
世界が白光に包まれ、全てが消えた──。
〜現実世界ラウンド2〜
白い世界が弾け飛ぶ。光が収束し、ホーム版ジェイスは再び自分の部屋で目を覚ました。
……っはぁ!! ま、また現実に戻ってきたのか!? 夢オチ……じゃねぇよな……。
(隣から赤ん坊の泣き声)
う、嘘だろ……またお前か……!? グラリアァァァァァァ!!!
あう〜〜〜♡(にこっ)
やめろその笑顔! 俺の理性が溶ける……可愛いけど……でもこれ嫁なんだよな!?!? ややこしすぎるんだよぉぉぉ!!
〜ホーム版の家ラウンド2〜
ドンッ!と音を立てて空間が裂け、再び4人の別世界ジェイスが現れる。
落ち着け、ホーム版の私。
状況を整理する。グラリア少尉(赤子)を保護し、我々で今後の家族構成を決めねばならん。混乱のままでは軍も立たぬ。
ふむ、つまりホーム版のジェイスとホーム版のグラリアの間に、“赤子状態の妻”というニュースが誕生したわけだな。これは特大スクープだ。
“自称記者、妻を赤ん坊に──ぴょんぴょん愛の転生劇”とでも見出しにするか。
おいホーム版の俺、何してんだ。構成がぐちゃぐちゃだぞ。プロット崩壊レベル。
そもそも“妻が赤子化”っていうのは世界観的に整合性が取れてない。せめて“愛の退行現象”とか、編集者っぽい命名にしろよ。
これは愛の根源に立ち返る現象だな。“無垢への回帰”とも言える。
君は今、“赤子化した愛”という哲学的課題に直面している。人は成長して愛を知るが、君の場合は“愛を知ったあとに退行する”……逆説的に美しい。
お前らの口だけ理屈はいらねぇぇぇぇぇぇっ!!😭
こっちは現実的に困ってんだよ!! ミルクもオムツもどうすりゃいいんだ!!
ならばまず“軍規第十三条 家族支援項”を適用する。役割を分担しよう。
我々5人で、ひとつの家族として再編成するのだ。
提案に賛成だ。ここは“多次元的家族構成案”を策定すべきだな。
では――家族構成会議、開廷といこうか。
全員、ちゃぶ台を囲んで座る。
まず、役職の明確化だ。私は父親代理を担当する。軍の規律のもと、赤子グラリアを規則正しく育てる。
おい、待て待て!
俺が本物の旦那だぞ!? 父親は俺!!
いや、ホーム版のジェイス。君は“父親”というより“育児未経験者”だ。報道的観点から言えば、君は“父親候補”に過ぎない。
お前ら全員うるさい。ホーム版の俺は“父親(仮)”でいいだろ。
俺が“教育監修”。母親(仮)”は……まあ、赤子だから将来的に戻るとして、“家庭構成バランス”は俺が見る。
ふむ、私は“精神的指導者”を担当しよう。赤子グラリアが恋を学び直す過程を、知の使徒として見守るのだ。
育児における“愛の発達論”を論文にするのも一興だな。
いや、待て。なんで全員“父親ポジ”なんだよ!?
俺の嫁だぞ!? 一人称同じで混乱すんだよ!!
まぁまぁ落ち着け。
遺伝子的には全員“同一個体”だから、つまり我々5人全員が“父親”というわけだ。
だからその理屈が怖ぇんだよおおおおおおっ!!!
(眠そうに目をこすりながら)
あう……。
……静かにしろ。起こすな。赤子は敵よりも繊細だ。
むぅ、やはり母性の欠如が問題か……我々に足りないのは、母性の象徴である“グラリア本人”の意識だ。
ホーム版ジェイス、君が責任を取って、彼女を元に戻す策を講じろ。
……っくそ、わかったよ。もうこうなったら、どんな手使ってでも元に戻す……!!
絶対に俺の“嫁”を、取り戻す!!!
よし、議題は決まった。“赤子グラリア再成人化計画”だ。
コードネーム──《Project Baby Love》。
あう〜〜♡
(赤ん坊グラリアを抱きながら)
よし、まずはミルクな……くそ、世界救うより難しいわ……。
〜Project Baby Love開始〜
恋愛相談版ジェイスが赤ん坊グラリアを抱き抱えていると……。
ふふ、グラリア……君は実に良い子だ。知の使徒たる私に抱きついて離れようとしないとは、まるで理性と本能の矛盾そのものだ。
だがね――人は矛盾の中に真理を見出すものだよ。すなわち、これは“母性回帰の心理的投影”だ!
君が私を求めるのは、幼児退行的願望の延長であり――つまり私は、君の“母”にもなれるということだ!!!
(恋愛相談版ジェイス、堂々と腕を広げる)
グラリア、私が母となろう。愛も理性も、全て知によって包み込もう。知の使徒はついに進化する――“母性の使徒”にッ!!!
……馬鹿馬鹿しい。理性を持て。
母になるとは、そう軽々しく口にして良いものではない。
……それに、“父親”をどうするつもりだ。誰がその無茶な家庭構成の指揮を執る。
おっと、ここで母宣言とはまた筆が踊る展開だな。
ならば記者として公平に述べよう。父親の座は、最も“筆力”のある者に与えられるべきだ!
……つまり、私だ。私の世界線では、妻が最も胸を張っていたしな。いや、物理的な意味で。
お前ら……なに勝手に母親だの父親だの決めてんだ。
俺にはもうエミリアもいるし、妻のお腹には新しい命もある。
これ以上家族構成を増やしたら、出生届の欄が足りねぇんだよ!!
待て待て待て待て!!!!!
なんで“母ジェイス”が生まれてんだよ!?
お前ら、俺の妻(しかも赤ちゃん状態)を中心に“多次元家族計画”進めるな!!!
しかも父親枠を話し合うな!!!どの世界線でも俺は父親だろうが!!!
……ていうかお前ら全員、遺伝子的に俺なんだから――最悪、近親どころか自己交配だぞ!!?
(ホーム版ジェイス、天を仰ぎ、絶叫)
もうやだ!!!
この世界、壊すしかねええええええええ!!!!!
(ジェイス、涙ながらに“孤独のぴょんぴょん”を発動――)
ぴょん……ぴょん……ぴょおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!
世界が白く弾け飛ぶ――理性も母性も、ホーム版ジェイスのごともやもやも吹き飛ばした…………はずだった。
残響のようにひとつの声が響くと、(白く吹き飛んだはずの世界が元通りになる。
……っ、これは……? 私の……胸が……哲学的に……膨張していく……!?
おお、これぞ“知のバストパラドクス”!!
理性によって抑圧された感情エネルギーが、肉体という概念にフィードバックされ……結果として、論理的に巨乳化したのだッ!!!
(男のまま、ボタンが弾け飛ぶほどの爆乳を得てしまう恋愛相談版ジェイス)
ふははは! 知は形を変える!
私は知の使徒にして母性の象徴、“爆乳の哲学者”だ!!
うわあああああああああああああああ!!!
お前何やってんだよ!? 胸の主張が哲学超えてんじゃねぇか!!!!!
てか、これ以上“ぴょんぴょん”したら宇宙ごと吹き飛ぶからな!? 俺、ぴょんぴょん禁止令発動するからな!? 二度と跳ねんなよ俺!!
……ああ、正直なところ、ホーム版ジェイスがこれ以上ぴょんぴょんするのは危険だ。
このままでは“惑星単位の振動爆撃”になる。
それより、家族構成の整理を始めよう。誰が父で、誰が母かを決めなければ――組織として成り立たん。
軍人らしい意見だな。しかし公平を期すなら、ここで“父親記者会見”を開くべきだ。
ホーム版ジェイスは第一夫としての立場を保持、我々はそれぞれ“副夫”として多次元的扶養責任を共有する――つまり、一夫多夫制の完成だ!
おい待て。多夫制って何だ。
俺んとこもう子どもが二人いるんだぞ。全員合わせたらサッカーチーム作れそうじゃねぇか。
……ってか恋愛相談版、胸でかくなったまま腕組むな! 編集者として視線が定まらねぇんだよ!!
フフ……嫉妬かね? だがこれは学問の成果だ。
理性的に考えれば、胸の豊かさは包容力、すなわち“母性”の象徴。
よって私は母、そして君たちは――学術的に見て“夫たち”だ。実に論理的だろう?
どこが論理的だよ!?!?!?!?
俺はもう“ぴょんぴょん禁止令”出してんだからな!? これ以上世界壊すなよ!?
てか、“爆乳の母ジェイス”って字面だけでニュースになんだぞ!?!?
ばうばう〜♡(……みんなパパでママ……ってことは、私は世界で一番愛されてる赤ちゃん?)
……結論として、
父親代表:ホーム版ジェイス
母親代表:恋愛相談版ジェイス
で良いだろう。
私たちは後方支援に回る。特に表現チャレンジ版は、不要な出産記事を書くな。
ほう、編集権を奪う気か?
だが記録せねば真実は消える。タイトルはこうだ――
『知の使徒、爆乳化す。理性に導かれた母性と一夫多夫制の夜』
タイトルがヤバいわッッッ!!!!!
ちゃぶ台にて再び家族構成会議。
さてさて、家族構成の会議とやらが始まったようだが……私の見立てによれば、だ。
展開改変版ジェイス――君はあまりにも規律と軍法を愛しすぎている。
命令と報告でしか愛を伝えられぬその様は、まるで“祖父”。
ゆえに、今この瞬間から君は――おじいちゃんジェイスだ!
待て。なぜ私が最年長扱いになる。
外見も発言も年齢不詳であっても、私はまだ現役だ。
……“おじいちゃん”と呼ばれるほど軟弱ではない。
ほう? では孫に囲まれた老兵が、夜な夜な紅茶を啜りながら“君の盲目は私が守る”と呟く姿を想像してみろ。
どうだ、完璧に“おじいちゃんジェイス”ではないか!
おいちょっと待て、勝手に年齢設定すんな。
てかお前、俺のことも勝手に何か言いそうな目してんな?
ふふ……鋭いな。もちろんお前にも称号を与えよう。
エミリア版ジェイス――君は私よりも思考が直線的で、感情に弱く、グラリアへの愛情表現に修辞法のかけらもない。
ゆえに、私の弟ジェイスとする!
はあ!? 俺が弟!? どの口が言ってんだ記者さんよ!!
お前、愛情表現が修辞法にまみれすぎて“ニュースで放送禁止”だろうが!!
ふふふ、兄弟喧嘩は家庭内のスパイスだが、母としては見過ごせんな。
しかし、表現チャレンジ版の見立てには一理ある。
軍律を尊びすぎる展開改変版は家長としての威厳を持ち、
感情で動くエミリア版は次世代を担う若者の象徴だ。
学問的にも、おじいちゃんと弟という構成は実にバランスが良い。
認めん。私はまだ軍務に復帰可能だ。
孫に“おじいちゃん”と呼ばれても、敬礼で返すタイプの男だ。
いやもうお前の言い方が完全に“老練司令官”なんだよ……。
はっはっは、やはり私の見立てに誤りはない!
となれば、ホーム版ジェイスは“父”で、恋愛相談版は“母”。
展開改変版が“おじいちゃん”で、エミリア版が“弟”。
そして私は――当然、長男ジェイスだ!
長男面すんなああああああああ!!!!
てか俺、もう自己交配の末に家系図バグってんだからこれ以上ややこしくすんな!!
ふむ……まとめよう。
父:ホーム版
母:私(爆乳)
長男:表現チャレンジ版
次男:エミリア版
祖父:展開改変版
赤子:グラリア
ばぶっ♡(おじいちゃん……次はおんぶしてね♡)
(赤ん坊グラリアをおんぶしながら)
……この世界、指揮系統が完全に崩壊しているな。
いや、むしろ完璧だ。
“ルバート家”は今日も多元的に混沌だ!
