シリアスなストーリーにギャグをぶち込むストーリー()
▼以下元ネタ
〜朝〜
朝になると、ジェイスよりも先にグラリアが目覚めていた。
えっと……ジェイス、起きれるかな……?
今までのことがあってジェイスはどっと疲れていた。
(ジェイス――展開改変版ジェイスは、枕に片腕を乗せたままゆっくり目を開けた。
淡々とした視線でグラリアを見つめ、ほんの僅かにだけ声を柔らかくする)
……起きている。心配するな、グラリア。まだ少しだけ休めと言うなら従うが――。
と言いかけた瞬間。
ドンッ!! バンッ!! ズカズカッ!!
……と、明らかに複数の足音と気配が寝室の扉の向こうに集まり始めた。
グラリアは気遣ってくれそうなので、もう少し休みたいという要望はとおりそうでも、別の世界線のジェイスらがジェイス(展開改変版ジェイス)とグラリアの寝室にやってきて穏やかでなかった!!!!!
おいおいおい!! 朝から密着夫婦タイムかよ!!
いやまあ羨ましいけどさ!? 違う違う、そうじゃなくて状況!!
二人だけの空間に俺らが入るのはアレなんだけど、でも!! でもでもでも……俺も入りたい!!!
帰れ。朝から騒ぎ立てるな。
お前だけは入室許可を出した覚えは一度もない。
ふん……ほう、寝起きのグラリアか。相変わらず儚い容貌だな……。お前(ホーム版)、己の欲望を抑えられぬ半端者は黙っていろと言ったろう。
――展開改変版、安心しろ。この私が公平に観察してやろう。グラリアの寝乱れは実に尊い。
公平性が欠片もない観察をするな。出ていけ。
……まず前提としてだな、展開改変版。寝室への侵入を許可するプロトコルが破綻している。
ホーム版、お前は“夫の寝室に他人が乱入する場合の対処法”を学び直せ。あとグラリア、背中の角度が危険だ。妊娠リスクではなく姿勢の問題だが、未来の家庭を築く上で悪い癖になる。
えっ……えっ!? なんで俺だけそんな刺さる言い方されるの!?
寝室への乱入は恋愛学の観点からしても最悪だ。
ただし……展開改変版グラリアの寝起きという貴重な瞬間に立ち会えるのは理論的には幸福な偶然とも言える。君のような優しい女性を前にすると、男は理性と欲望の均衡を失う……分かるだろう? 展開改変版。
分からん。黙れ。
(扉の隙間からひょいとカードを見せながら)
……安心しろ、展開改変版グラリア。
“色欲の悪魔”は君を守る。
……このカードに書かれた小さな文字は、読まなくていい。読まなくていい。
絶対ロクなこと書いてねぇよそれ!!!
ふん……寝室の空気……甘ぇな。
グラリアは寝起きでも私のものだ。
お前らが覗きに来るなど滑稽よ。展開改変版グラリアも私に構うべきだ、さあ朝から膝に乗せ――
狼は黙らせるぞ。近づくな。
(完全に目が泳ぎながら)
い、いや……その……。展開改変版グラリアの寝起きって、あの……その……可愛い、というか……すごく……その……抱き締めたい衝動が……っ!!
思わず近寄ってしまったSF版の肩に、展開改変版ジェイスの軍靴がコツンと触れ、銃口がゆっくり上がる。
止まれ。
は、はいッ……!
寝室の中心で、グラリアはぽかんとジェイスたちを見つめている。
え、えっと……あの……。
ジェイス、もう少し休んでてもいいんだよ……?
みんなは……その……朝から元気だね……?
ジェイスたち8人「「「「「「「「元気ではない!!!!」」」」」」」」
※別の世界線のジェイスたち7人は、展開改変版ジェイスとグラリアの距離が近すぎて精神が不安定になっているだけである。
……そ、そこまで元気じゃないなら……ジェイスには休んでほしいから…………。
ジェイス、私がキスしたら、ゆっくり休んでね。
その瞬間、ジェイス(展開改変版ジェイス)以外のジェイスらが、グラリアがいるベッドの上に寝転がり込んできた!!!!!
ちょっ……待っ……! そ、それ俺も聞こえた!!
“ジェイスには休んでほしいからキスする”って……いやいやいや、これ! これ絶対俺も対象だろ!? だよな!? だよな展開改変版グラリア!!?
(叫びながらベッドにダイブ)
……侵入者、全員停止しろ。
む……貴様は何も理解していないなホーム版。
“妻が夫を癒すために口づけを与える”という神聖な儀式において、まず最も相応しいのはこの私だ。公平性を担保するためにも、グラリアの隣を確保する。
(堂々とベッドへ横たわる)
配置が崩壊している。ホーム版、それは“妻の健やかな回復を阻害する最大の原因”と明記していい。
展開改変版グラリア、君の安全を優先するなら、まず隣にいるべきは……そう、将来的に家庭を築く夫として最も信頼性がある者だ。俺だ。
(自然な流れでグラリアの左側へ滑り込む)
恋愛学の観点から言わせてもらうが、
“キスの直前に最も近くにいた男”が心理的優位を確保する。
よって、この位置は私が取る。
(ベッドの中央付近に寝転がり、意味不明な形で存在を主張)
……色欲の悪魔は囁いている。
“君が触れた体温は、運命を狂わせる”と。
(そう呟きながらカードを掲げ、大胆に横たわる。カードの小さな文字には『この体温、触って確かめてみないか?』と書いてある)
ふん……貴様ら下賤な者どもが寄り集まって騒ぐな。
展開改変の女は私のもの。
狼はいつでも妻の隣に眠る権利があるのだ、どけ。
(獲物を狙うようにグラリアの枕を半分奪い取って寝そべる)
お、おい待て……っ。こういうのは秩序が……っ、いる……んだ……が……。
で、でも展開改変版グラリアの寝息……その……安定してて……近くで……解析……したく……。
(分析と言いながら完全に欲望で動き、グラリアのすぐ近くに寝転ぶ)
ベッドの上、全員ぎゅうぎゅうで横たわったジェイス8名。圧・迫・混・線。
……貴様ら。
全員、今すぐその位置から離れろ。これは命令だ。
従わない場合、夫妻の寝室への立ち入り権を永久剥奪する。
一瞬で静まる寝室。しかし――
でも!! キスするって言ってたじゃん!! 俺、聞いたぞ!?
俺の休息にもキスは必要だよな!? なあ!? なあ展開改変版グラリア!!?
え、えっと……あの……ジェイス(展開改変版ジェイス)に……
落ち着いて眠ってほしいって意味で……言っただけで……他のジェイスには……。
一斉にジェイスたちが固まる。
……“他のジェイスには含まれない”……だと……?
貴様ら全員、帰れ。私の妻だ。
……推理結果。
我々全員、夫枠ではない可能性がある。
いやだあああああああああああああ!!!!
ホーム版、その叫びは未成熟な恋慕の暴走だ。黙れ。
やべぇ……俺、泣くかもしれん……。
展開改変版ジェイスが静かに銃口を上げる。その瞬間、ベッドの上で騒いでいた“別世界線ジェイス軍団”が一斉に凍りついた。
……そこを動くな。
お前らの騒音で妻が眠れない。
今すぐ寝室から退去しろ。さもなくば――
カチャ、と安全装置が外れる音。
ちょちょちょちょっっ!!?
待って! 待って!!
俺いま“優しく寝息聞いただけ”だから!!??
ふむ……これは“妻の安息”という極めて公平性ある命題において、我々が排除対象となるのは理解できる。だが展開改変版ジェイスよ、銃口を向けるのは“やりすぎ”だと私の美学が告げている。
いや待てお前ら。まずは状況整理からだ。
展開改変版ジェイスの射線は……完全にこちらに向いている。
これは“夫としての最低限の統制”として妥当……うん、妥当だが……!
だからといって撃つな!!
冷静になれ。
“妻の睡眠を妨害する複数男性の存在”は、恋愛学的にも極めて不健全だ。
だが銃の使用は論外だ。私たちはただ……展開改変版グラリアに触れたいだけだ。
……カードが告げている。
“このままでは、撃たれるのはお前だ”とな。
(色欲の悪魔カードをそっと顔の前に掲げて後ずさる)
おい展開改変! 貴様、狼である私に銃を向けるとはいい度胸だ……が、まあお前のその必死さは嫌いではない。
だが妻に構われる権利は私にもある! 私を追い出すな!
ま、待て! 理論的に考えて銃火器は危険……っうわあああむりむりむり!
銃口こっち向いてない!? 俺、童貞が理由で撃たれる未来は嫌だ!!
銃声が鳴る――かと思われた、その瞬間。展開改変版グラリアがくすっ、と笑った。
その笑みに、展開改変版ジェイスの指が一瞬止まる。
ふふ……あなた、そんな怖い顔しないで……。
私、大丈夫だから……ね?
その言葉と笑顔が、部屋の空気を一瞬で変えた。
……あ、笑った……。
ちょ、かわ……ってちげぇッ!! 撃つのやめろおおお!!
……はぁ。
……全員、そこから動くな。
今の妻の笑顔を見て、まだ騒げると思うなよ。
展開改変版ジェイスは銃を下ろす。しかし、目は鋭いまま。
グラリアがゆっくり身体を起こし――ベッドに集まった8人のジェイス、一人ひとりの額へ。
ふわり、と柔らかいキスを落とした。
っっっ……っぅああああああ!?!?!?!?
ねぇ今の俺の番!? 俺の番だった!?!?
し、しあわせ……!
……なんという破壊力……。
言語化不可能な幸福だ……ッ。
……脳の処理能力が追いついていない。
これは……娘が産まれた時くらいの幸福指数だ……。
科学と恋愛学を超越した“接吻療法”……!
すばらしい……実にすばらしい……。
これは……“色欲の悪魔も黙る一撃”……だな……。
(カードを震える手で握りしめる)
ちょ、ま……ッ……私が……私が構われた……っ……!
(狼がしっぽを振る勢いで感動)
脳の回路……暴走……っ!!
心拍数上昇……やば……倒れる……っ!
そして最後に、展開改変版ジェイスの頬にも、そっとキス。
みんな、ゆっくり休んでね?
結果……8名のジェイス、全員その場で静かにダウン。
ホーム版ジェイスは喜びすぎて壁にもたれかかり、SF版ジェイスは過熱して赤面したまま再起不能。
童話版ジェイスは「妻…妻……」と呟きながら幸せそうに寝落ちし、残りは放心状態で天井を見つめて沈黙。
寝室は、ようやく静かになった。
〜昼〜
昼になり、ジェイスら8人とも目覚める。
確かジェイス(展開改変版ジェイス)は……昼食でグラリアにはシチューを振る舞ったはずなのでシチューを作ろうと思ったのだが、別の世界線のジェイスらがグラリアの前に様々な料理を出してきていた!!!!!
テーブルの前には、すでに“8人のジェイス”がずらりと並び、 思い思いの料理をグラリアの前へと差し出していた。
しかも——全員、スプーン・フォーク・箸を一度くわえてペロッと舐めてから料理をすくい、グラリアに向けて「あーん」をしている。しかも口々にもっともらしい理由をつけているという惨状である。
……待て。お前ら、その不審な動作はなんだ。衛生観念は死んだのか。
いや! ほら! 殺菌! 殺菌だから!
俺の唾液にはな、なんか…その…天然の浄化作用があるんだよ!!
馬鹿かお前はホーム版。私の“神聖なる美声と同じくらい清らかな唾液”に勝てると思うな。
グラリア、さあ、私が舐めて清めたスプーンで取ったこのローストビーフを……あーんだ。
ホーム版は“殺菌の定義”からまず修正が必要だ。展開改変版グラリア、こちらは俺が——いや、今回は夫候補としての“点数”も考えて——一度口に含んで消毒したスプーンで食べる栄養価の高いリゾットだ。ほら、あーん。
唾液というのはな、君。恋愛的親密性を高める上でもっとも効率的な“親密度触媒”だ。グラリア、これはただのデータに基づく合理的判断だ。よって——あーん、だ。
……君たちの言い訳は推理する価値すらない。だが、このフォークは一度私が噛んで“毒の不在”を証明した。グラリア、安心して食べてくれ。あーん。
お前たち全員どけ。グラリアに食べさせるのは“夫である私”だ。私が舐めたスプーンこそ狼の誇りそのものだぞ。おい、グラリア、あーんしろ。いい子だ。
理論的に言うと、俺の唾液には何の意味もない……はずなのに…… 気づいたらスプーンを咥えていた。すまん。だが殺菌はできてるはずだ。展開改変版グラリア、このシチュー……あーん……。
……お前ら全員、後で射殺しても軍法会議にかけられない気がしてきたぞ。
だが、グラリアがほんのり頬を赤く染めると、軍人ジェイスの眉がピクリと動いた。
え、えっと……みんな……“消毒”してくれたんですよね……?
そ、そうそう!! と、とにかく安全!!
安心しろグラリア、君が口にするものはすべて私が清めた。神々しさすら感じるだろう?
……(深い溜息)……グラリア。無理に食べなくてもいい。代わりに私が作ったシチューが——
黙れ軍人! お前のシチューは後でいい!
先に私の料理を食え!
順番待ちを無視するとは、童話版。君は恋愛の基礎すら学んでいない。
落ち着け。まずは“もっともグラリアが喜ぶ表情を引き出せる者”からだろう。
理論で順番は決められない……が、食欲と感情値の最適化は……。
今この場は採点不能レベルの混戦だな。
だから俺からだって言ってるだろ!!
そしてテーブルは——地獄の『あーん』渋滞へ突入する。
たった一人のグラリアを囲んで、8人のジェイスが一斉にスプーン・フォーク・箸を突き出し、
「はいグラリア! あーん!」
「いえ、まずは私の料理だ」
「俺のだって!」
「順番を守れ貴様ら!」
「恋愛的には私が先だ」
「カードにも“私を選べ”と書いてあるが?」
「グラリア〜食べて〜」
「食べるのは俺のシチューだ!!!」
8人のジェイスがスプーンを突き出し、展開改変版グラリアがどうしたらいいか困っている――その瞬間。
ーーぷすっ……ぼふっ……!!!!
リビング全体に重低音と破壊力抜群の悪臭が炸裂。
い、今の俺じゃねえ!! 俺だけど俺じゃねえ!! いや俺なんだけど!!!
(※自白)
……貴様の腸内環境は一度司法の場で裁かれるべきではないか?
鼻が死ぬぞホーム版……!
おいホーム版。今のは“爆発音の後に臭気を伴う”という最悪の構造破綻だ。修正しろ。いや今すぐだ。
君の腸は恋愛難易度では最下層だ。人が恋に落ちる前に嗅覚が落ちるぞ。
……推理は不要だ。犯人は目の前で取り乱している愚か者だ。死刑相当の臭いだぞホーム版。
不浄の狼か貴様は? いや狼に失礼だな。お前の屁は森を二度死滅させる威力がある。
分析完了……これは生物兵器レベル。いや、俺の設計した下水処理施設でも無理だ。リビングから退避しろ!
全員退避しろ!!! グラリア、君は私が守る。
……ホーム版、お前は後で覚悟しろ。
8人+グラリア、全力ダッシュでリビングから脱出。
く、苦しい……に、匂いが……っ。
グラリア大丈夫か!? 酸素濃度低下! 有害ガスの可能性!! 抱えて外へ避難するぞ!
抱くな!! お前は距離感を学べと何度言わせる!
グラリアは私が運ぶ!
ごめんほんとごめん!!!
廊下に避難後……全員ゼェゼェ言いながらも生存。だが事件は終わらない。
……ホーム版。今のはただの屁ではない。
戦争を誘発する規模の化学兵器だ。お前はいつから毒ガス部隊に入隊した?
ち、ちげえよ! ちげえって……!!
俺もびっくりしたんだって!!
言い訳は後で聞く。お前はリビングの視察に行け。
い、今!? あの悪臭の中に!?!?
俺死ぬって!! ガチで死ぬって!!
軍人として命令だ。行け。
ホーム版ジェイス、泣きながらリビングへ戻る。
うぅぅぅ……い、いやや……くっさ……なんで俺だけなんだよ……。
リビングのドアを開けると……
――悪臭、濃度UP。
――視界がゆらぐ。
――料理……溶けてる。
え………………?
俺のおなら……料理……溶かした……?
なんで?? おい、ただの屁だぞ!?!?
鍋のシチューは泡を吹き、
ローストビーフは茶色のゲルに変貌し、
フォークは変色し、
テーブルが若干えぐれている。
ぎゃーーーーーーー!!!!!
俺なにしたんだよ!?!?
俺生物兵器なのか!?!?!?
ホーム版ジェイス、廊下まで必死に戻ってくる!
みんなぁぁぁ!! 料理がァァ!! と、溶けっ……溶けてたぁぁ!!!
テーブルもえぐれてたぁぁぁ!!!
(ガチ泣き)
……貴様の存在はもはや記事どころか、警告文として発行した方がいい。地球に対するテロだ。
ホーム版……お前の屁、構造解析の結果“強酸化性ガス”の挙動だ。もう腸を取り替えろ。
恋愛のステップ以前に、君はまず己の身体を見つめ直すべきだ。あの臭いは恋を殺す。
……もはや推理不要。“料理を溶かす屁”など、人生を間違えた結果としか思えん
森どころか世界が滅ぶわ。お前の屁で。
科学的に言うと……説明不能。だが確実に有害物質だ。ホーム版……病院へ行け。今すぐだ。
……ホーム版。お前一人をリビングに戻したのは正解だった。我々全員が溶けていたところだ。
俺そんなレベルなのかよ!?!?
自覚しろ。
<作成中>
