整骨院では(いろいろと)対応しきれず、ジェイスら5人が目覚めたときにはベッドの上にいた。5人全員が同じ部屋で入院していた。
そのとき、ジェイスらがいる部屋に誰かが入ってくる!
先生、ジェイスさんたちが目覚めたみたいです。
マライアという看護師の女性が先生という者を呼ぶ。その先生の姿は、元暗殺部隊隊長兼執事の笑悼とよく似ていた。
私が皆さまの主治医の笑悼(えとう)です。……では、お身体の具合を――
その瞬間、5つのベッドから同時にガバァッ!!と上半身を起こすジェイスたち!!!
てめぇぇぇえっ!! また笑悼か!!!
おいおい、今度は“先生”だぁ!?
ホーム版のジェイスなんか、お前の手刀で腰が粉砕されたんだぞ!!!
医学的見地から言えば、あのフェロモン攻撃は完全に違法だ!
人の恋と腰を同時に壊すな!!
そもそも芸術的構図を崩壊させた罪は重い!!
私のY字バランスを返せぇぇええ!!!
貴様ァァァ!! 俺の“おふん♡”人生初だったんだぞ!?
責任取れぇぇぇえええ!!!
(ポカーン)
……あの、ちょっと待ってください。
私は医者であって、“元暗殺部隊隊長”でも“執事”でもありません。
貴様の目、貴様の声、貴様の名前!! すべて一致している!!
現実だろうが創作だろうが関係ねえ! 俺たちの腰はひとつだッ!!!
(カルテを開きながら)
……なるほど、ではカルテに記録しますね。
(落ち着いた筆致で書き始める)
| 患者名 | 症状 | 医学的見解 | 治療方針 |
|---|---|---|---|
| 展開改変版 ジェイス | フェロモン性腰痛(Ⅱ型) | 精神的過労および執事トラウマ | グラリア由来の写真を見せると回復傾向 |
| エミリア版 ジェイス | 腰椎ねじれ+自尊心骨折 | 美的ポーズ過多 | “修正の必要はない”と3回唱えさせる |
| 恋愛相談版 ジェイス | 恋愛的PTSD(腰部) | 感情と物理的痛みの混線 | カウンセリング+恋愛漫画規制 |
| 表現チャレンジ版 ジェイス | 藝術過負荷によるY字損傷 | 自己演出過剰 | 表現活動を一時禁止(3日間) |
| ホーム版 ジェイス | 「おふん♡」症候群/過興奮性反応 | 精神的ショック+快感混入 | 一旦鎮静剤を打って静かに寝かせる |
ちょ、待てッ!! “おふん♡症候群”ってなんだよ!?!?!?
(メモを取りながら)
医学的にそう分類されているので……。
……副作用として“フェロモンに対してポジティブ反応”と記載されています。
つまり、堕ちたな……。
堕ちてねぇわ!!! 俺は健全だッッ!!!
健全なパンツ一丁など存在しない。
医者殿、我々はいつになったら再戦できる?
(冷静に)
全員、最低3週間は安静です。
……あと、“男フェロモン発散運動”は禁止です。
ジェイスら5人
「そんなぁぁぁぁぁぁっ!!!」
リハビリについての話は、看護師のマライアさんから伺ってください。
えっ!? あたしですか!?!?
私はこのあとグラリアさんの脚の治療について話さなければなりませんから。
笑悼が静かに部屋を出た瞬間——病室は一転して、地獄の動物園状態に!!
(困惑)
あ、あの……えっと……皆さん、落ち着いてくださいね? リハビリの内容は――
(ベッドの上で立ち上がろうとして再び腰を痛める)
リハビリなんざ後回しだ!!
俺は今すぐグラリアに会って、“おふん♡”の誤解を解かねぇと心が死ぬんだよぉぉぉ!!!
(ベッド柵に頭ぶつけて「イッテェェ!」)
貴様……いや、マライア殿。
我々は“グラリア防衛戦線”の生き残りだ。
リハビリより先に、グラリアの安否報告書を提出してもらおうかッ!!!
(軍服の代わりに病衣の袖をバッと翻すが、袖が短くてただの寝間着)
(腰に温湿布貼りすぎでミイラ状態)
グラリア以外の看護師では創作的刺激が皆無だ!!
我が腰は彼女の声でしか蘇生しない!!
このリハビリ、芸術性が足りん!!
脚本を差し替えろぉぉ!!
(温湿布の粘着で点滴スタンドに張り付き、「離れぬッ!」と絶叫)
(メガネがズレ落ちて半壊)
理論的に言えば、我々の“治癒力”は愛の導因に比例する。
よって、グラリア不在のリハビリなど非科学的である!!
愛の供給がなければ、筋肉は育たぬのだ!!
(語気が強すぎて血圧計の警告音ピーピー)
(腹に氷嚢を乗せながら呻く)
おいマライアァ……悪いけどな……。
グラリアの“脚の治療”って言ったよな……。
まさか……俺たちの腰より先に治してんのかよ!?!?!?
どんな世界の構文でそれが通るんだよ!!!
(怒りのあまりベッド柵に蹴り→腰に響いて「ぎゃあああ!!」)
(点滴引きちぎりながら)
おい笑悼呼んでこい!! 責任者出せ!!
俺たちは笑悼にフェロモンで倒され、パンツで辱められ、
さらに医者だと偽った笑悼に“おふん♡症候群”って書かれてんだぞ!!
このままじゃ読者の腹筋が持たねぇぇぇええ!!
マライア殿、誤解のないように言っておく。
我々は腰が痛いだけであって、決して“下半身に全振りした愚者”ではない。
(他4人「いや間違ってねぇだろ!!!」)
記者として断言する——この病室、理性崩壊率120%に達した!!!
(眼鏡クイッ)
……冷静に分析するが、全員“恋愛ではなく腰の病”に堕ちている。もはやこれは感情論ではない。物理的崩壊だ。
(再び氷嚢を落とす)
俺もう無理……腰も感情も凍った……。
(涙目でナースコール連打)
せ、先生ぇぇぇ!! リハビリどころじゃありません!!
患者さん全員、なんか“グラリア教”に入信してますぅぅぅぅ!!!
〜1日目のカウンセリングその1〜
診療日:本日
担当医:笑悼(えとう)
診療科目:精神的腰部疾患+恋愛依存性幻覚症候群(仮称)
第1診察:展開改変版ジェイスの場合
(穏やかに)
まずは落ち着いて、深呼吸を。では……最近、何かストレスを感じることは?
(腕を組んで前を見据える)
ストレスなど感じていない。……ただ、あの“展開改変版笑悼”を再び倒す策を練っている最中だ。
奴のフェロモン散布は危険だ。対抗手段として、腰を封印する装甲スーツの開発を――
いえ、そういう戦術の話ではなく、あなたの“心”の話を――
(目を細める)
心? そんなものは戦場に置いてきた。……だが、グラリアの笑顔を思い出すたびに……
いや、違う。私は任務に生きる。彼女のことは、戦略的感情保持にすぎん。
それ、完全に惚れてますね。
……黙れ、医者。
第2診察:表現チャレンジ版ジェイスの場合
あなたは最近、どんな感情の波を感じていますか?
(記者ノートを広げて)
感情の波、か……。私は“腰の崩壊と創作欲の相関”について論文を書いている。
つまり、腰を痛めるほどに筆が進む! 芸術とは苦痛だ!!
えぇと……痛みを創作の糧にしている、ということですか?
その通りだ、医師殿! 私は痛みによって悟った。
愛も芸術も、グラリアの腰線に集約されるのだッ!!
(若干引き気味)
……腰線に、ですか?
(筆を振り上げる)
はい! 彼女の“腰曲線の黄金比”を解析すれば、世界平和も夢ではないッ!!!
ホーム版笑悼、カルテに『芸術性過多による腰線依存症』と記載。
第3診察:エミリア版ジェイスの場合
あなたは比較的落ち着いているようですが……最近の悩みは?
(眉間に皺を寄せて)
悩み? あるに決まってるだろ。
俺のグラリア愛が“盲目”とか言われるの、納得いかねぇんだよ。
あれは戦略的視覚集中って呼べよ!!
(無表情)
はい……。では、その“集中”は仕事にも影響を?
影響どころか原動力だ! 彼女が原稿の横を通るたびに語彙力が上がる!
ただ、あいつ(表現チャレンジ版ジェイス)が“腰線”とか言うたびに俺の語彙が“腰”に偏るんだよ!
……なるほど。周囲の影響も受けやすい、と。
受けやすいじゃねぇ! グラリアだけを受け入れてんだよッ!!
ホーム版笑悼、カルテに『盲目的一方向恋愛依存症(腰部連動型)』と記載。
第4診察:恋愛相談版ジェイスの場合
あなたは他の方々より理性的に見えますが、何か悩みはありますか?
悩み? 理性と欲望の釣り合いが取れないこと、ですかね。
私は恋愛を“心理戦”として捉えているのですが……最近、グラリアを見ると理論が飛ぶ。
つまり、“感情の暴走”ということですか?
暴走? いや、“合理的な欲情”と言ってください。
あれは感情ではなく、本能の論理構築なんです。
(若干困惑)
えっと……つまり、愛を正当化している?
違います、証明しているんです。
グラリアが私の論文なら、彼女の微笑は脚注にして永遠保存したい。
ホーム版笑悼、カルテに『知的恋愛理論過剰症候群(自称論文型)』と記載。
第5診察:ホーム版ジェイスの場合
(最後の患者にため息)
では、最後にあなた。何か最近の不調は?
(いきなり大声)
不調!? 不調どころかフェロモン被害のトラウマで夜寝ると笑悼の顔が浮かぶんだよ!!
腰も痛ぇし、心もズタズタだし、しかも俺の魔防が-7400まで落ちてんだよ!?!?
そ、それはすみません……。
謝るな! お前の手刀で“おふん♡”って言った俺の尊厳どうしてくれんだよ!!
あの声まだSNSで流行ってんだぞ!?!?
……え?
しかもな、みんな腰痛いって言ってんのに、俺だけ“興奮してるからまだ大丈夫”扱いなんだよ!?
何その分類!! 俺は変態のサンプルデータじゃねぇぇぇえ!!!
ホーム版笑悼、カルテに『精神的腰部錯乱+羞恥耐性崩壊症候群』と記載。
誰が羞恥崩壊だコラァァァァ!!
グラリア呼んで正気取り戻すからなァァァ!!
まとめのカルテ
| 患者名 | 診断名 | 備考 |
|---|---|---|
| 展開改変版ジェイス | 感情抑制型ツンデレ軍人症 | 感情否認しがち。愛を任務でごまかす傾向。 |
| 表現チャレンジ版ジェイス | 芸術的腰線依存症 | 作品より腰線優先。危険。 |
| エミリア版ジェイス | 盲目愛執着症(腰部連動型) | グラリアが酸素。存在しないと昏睡。 |
| 恋愛相談版ジェイス | 理性正当化型愛情過剰症 | 論理を盾に口説き落とすタイプ。危険。 |
| 現実のジェイス | 羞恥混乱性興奮障害 | 声と腰にトラウマあり。治療困難。 |
(記録を閉じて)
……なるほど。全員“腰”に何かしら問題を抱えているようです。
次回はグラリアさんの面会による心理療法を試してみましょう。
先生、それ逆効果です!!!
彼らの治療にグラリアさんを使わないでください!
しかし……困りましたね……。
では次は、彼らにとってグラリアさんとは何かを伺ってみます。
〜1日目のカウンセリングその2〜
カウンセリングのため、ホーム版笑悼がひとりずつジェイスらと面談を行うことになった。
※なおジェイス全員まだ腰を痛めているため、椅子の上で正座できない。
第1診察:展開改変版ジェイスの場合
それでは、まず展開改変版のジェイスさん。グラリアさんのことについて──
……まずはあの展開改変版笑悼を倒さねばならん。あの男、あまりにフェロモン散布が巧妙すぎる。軍人として、あれほど腰にくる戦法は初めてだ。
あ、いえ……今のテーマは“グラリアさん”に──
グラリアは……あれほど温かい心を持つ女性だ。命令一つにも愛がある。私のような者にも“お疲れさま”と微笑んでくれる……だが……。
(展開改変版ジェイス、表情がわずかに曇る)
彼女の抱擁は……柔らかすぎる。あれは防具を貫通する攻撃だ。……実に危険だ。
……なるほど、“心の温かさ”の話ですよね?
そうだ。心……と、胸部の物理的構造、両方だ。軍人として分析せねばならん。
……次の方に参りましょう。
第2診察:表現チャレンジ版ジェイスの場合
それでは、表現チャレンジ版のジェイスさん。グラリアさんの──
おお、笑悼。まず貴様の分身体である展開改変版笑悼を討伐せねばならぬな。あの腰を揺るがす睡眠フェロモンの暴挙、もはや芸術的破壊であった。
……芸術的、ですか。
だが、それ以上に芸術なのはグラリアだ。あの麗しき存在感、呼吸一つが詩だ。人類の“腰”が集約した美だ。
腰、ですか?
腰、胸、そして言葉。彼女が“頑張ってね”と言うたび、我が魂が燃え上がる。ああ、できれば次の特集号は《グラリアの胸部特化号》でいきたい。
ここは新聞編集室ではなく病院です。次の方どうぞ
第3診察:エミリア版ジェイスの場合
では、エミリア版のジェイスさん。あなたにとってグラリアさんとは──
おっと、修正だな。まず“展開改変版笑悼”って名前からして長すぎる。略して“展笑”でいいだろ? 効率が悪い。
……いえ、別に略称の話ではなく──
グラリア? ああ、完璧だよ。誰が何と言おうと修正不要。あいつの笑顔は文法的にも構成的にも完璧な一文。唯一修正するとしたら──そうだな、ボタンの位置だ。
ボタン……?
あと2ミリ上だともっとバランスが取れるんだ。つまり“胸元の見え方”として──
結構です。次の方どうぞ
第4診察:恋愛相談版ジェイスの場合
では、恋愛相談版ジェイスさん。グラリアさんについて伺いま──
ええ、その前に一点確認を。
展開改変版笑悼の存在は心理的トラウマとして残っています。フェロモン攻撃による自己概念の揺らぎ、つまり“腰的喪失”が──
……腰的喪失、ですか。
しかし、グラリアは違う。彼女の愛情表現は理性的で、相手の欲求を自然と受け入れる包容力がある。あの柔らかさは倫理の範囲内の救済だ。
……倫理の範囲内?
ええ。つまり、彼女の胸が豊かであることも社会的に正当化される。愛の象徴として。
……“社会的に”ですか。
理解が追いつきませんが、ありがとうございました。
第5診察:ホーム版ジェイスの場合
では最後に、あなたですね。ホーム版ジェイスさん。グラリアさんについて──
ちょっ待て、まずあの展開改変版笑悼をどうすんの!? こっちは腰砕けんだぞ!?あいつのフェロモン攻撃、“おっさん殺し”だろ!!!
……本題に戻りましょう。グラリアさんについて、どう思われますか?
グラリアはもう……尊いよ。笑顔が光。怒った顔もかわいい。あの胸の揺れ、重力との共存が奇跡。あれがこの星の真理だよ。
……そうですか。
……でも先生の腰も……悪くない……。
看護師のマライアさん、鎮静剤をお願いします。
(外から)
もう用意してあります!!!
──カウンセリング終了。
診療メモにはこう記されていた。
「全員、恋愛対象の境界線が崩壊傾向にある。とくに最後のひとりは腰的方向に危険。」
彼ら……困りましたね。
しかし彼らは幸いにも身内同士です。五つ子を見るのは始めてなので驚きましたが……。
では今度は、グループセッションをしましょう。
