再就職後、順調に仕事ができたホーム版ジェイスは、ホーム版グラリアの両親からも結婚を認められた。
籍を入れる前の、ある日のこと……ホーム版ジェイスとホーム版グラリアの自宅に、ピンポーンと音が鳴る。
はーい。私が見てくるねー
グラリアに訪問者を任せたジェイスは、結婚前の祝いでも来たかと思った。
しかしそこにやって来たのは……ジェイスとグラリアにとって危機を齎すかもしれない相手だった!!!
あーん♡♡♡
ジェイスってばここにいたんだ〜♡
ちょっとぉ!
私の許可なく家に上がり込まないで!!!
まさかの現実で、ハーレム編でも始まるのか!?
今のホーム版ジェイスは経験人数が0ではなく1だ。しかし別の世界線のグラリアのたゆんたゆんな胸には釘付けになってしまう!!!
……おいおいおいおい!?
待て待て待て待て!?!?!?!?!?!?!?
慌てて立ち上がるジェイス。だが脳内の処理が追いつかない。なぜ、別の世界線のグラリアが現実世界で実体化しているのだろう……?
お前……いや、君……?
……っていうか、なんで俺の部屋に堂々と上がり込んでくるんだ!? しかも“ジェイスってば♡”じゃねぇよ!?!?
(視線が一瞬だけ、反射的に胸へ行ってしまい——)
……ッあ、いや、これは違う!
今のは反射だ! 人間の本能的反応! 不可抗力!!!
グラリアのじと目が痛い。痛い。痛すぎる。
ちょっ、グラリア、誤解するな!! これは科学的現象だ!!
重力と視覚の……ほら、物理的吸引力というか!!!
完全に墓穴を掘っていくジェイスであった。
ジェイスってば、私の世界線のジェイスみたいに、まーた不倫するの!?!? 本当にひどい!!!
ジェイスがわたわたしているうちに、エミリア版グラリアも入ってきた。彼女は車椅子を押していた。その車椅子には展開改変版グラリアがいた。
えっと……ジェイスは、どこ……?
展開改変版グラリアはオロオロとしていた。
ちょっとジェイス!!!
何でこんなにも別の世界線の私がいるの!?!?
グラリアがジェイスに向かって怒鳴ると、ふたりの間に天井の扉を開けて恋愛相談版グラリアが現れる!
ジェイスの経験人数が1になったってことは、恥の使徒じゃなくて今は乳の使徒?笑
いいと思う〜!
ほら、私だけこんなに立派だから喜んでね、乳の使徒さん♡♡♡
ま、待て待て待て待て待て!!!
ど、どこの誰が乳の使徒だと言うんだ!?!? 私は——いや、“私は”はやめろ、“俺”はだな……っ!
ホーム版ジェイスは、狼狽のあまり一人称が迷子になりながら、顔を真っ赤にして後ずさる。
まず落ち着け、グラリア!
そこの車椅子の君は……って、え? “俺”を探してる……?
展開改変版グラリアが、おずおずと頷く。その仕草があまりに儚げで、ジェイスは息を呑む。
……っ……そ、そんな顔をするな。君まで泣かれたら、俺はどこを見ればいいんだ……。
ホーム版ジェイスの横で、恋愛相談版と表現チャレンジ版のグラリアが顔を見合わせ、ニヤリと笑う
ねぇ、これもう“ハーレム of グラリア”じゃない?
倫理も理性も全部溶けてるよね、ジェイス♡
いいじゃんいいじゃん〜♡
どの私もグラリアなんだから、全部まとめて愛してくれなきゃ!
エミリア版グラリアが両腕を組んでホーム版ジェイスに詰め寄る。
ジェイス! あなたも、私の世界線のあなたも、何でこうなるの!?!?
全方位からグラリアが詰め寄り、ジェイスは壁際に追い詰められた。
……っ、やめろ……!
こんなに囲まれたら、どこを見てもグラリアじゃないか……!?
〜融合と再会〜
別の世界線の私であるあなたたち! 一体何でこの場に現れたの!?!?
グラリアが怒鳴った瞬間、部屋全体が光に包まれる。そして、光が解けた頃には…………。
(展開改変版とミックス)
えっ……えっ!? 私、急に何も見えなくなっちゃったんだけど!?!?
それに、車椅子に座っていて、歩けない……。
5人のグラリアはひとつになる!
ひとつになったホーム版グラリアだが、姿や特徴は展開改変版グラリアとミックスしていた。
ちょ、ちょっと待て!? 何が起きたんだ!?
グラリアが……一人に、なった……? いや、でも車椅子……って、まさか展開改変版の……。
ホーム版ジェイスが言葉を失っていると、ドアがガンッと開き、重い足音が響く。
……貴様ッ……私の妻に手を出すな……!!!
刹那、展開改変版ジェイスが腰の軍刀を抜き放ち、鞘鳴りとともにホーム版ジェイスに鋭い切っ先を突きつける。ちなみにこの男、不法侵入である。
はあ!? お、俺の妻でもあるんだぞ!?
いや、妻じゃない、まだ籍は——でも俺とグラリアの関係は……っ!
貴様のような優柔不断が彼女を守れるものか……!
ここで決着をつける!!
展開改変版ジェイスは軍靴で床を踏み鳴らし、構えを取る。ホーム版ジェイスは慌てて近くのクッションを盾代わりに構える。
おいおいおいおいっ、ここ俺の家だぞ!?
勝手に入ってきて何やってる!? 軍刀で家庭争奪戦するな!!!
戦場に場所など関係ない!
愛を守るためなら、家庭も戦場と化す!!!
ホーム版ジェイスが必死にクッションで軍刀を受け止め、ソファーの後ろに隠れようとする。
やめろって!! 軍人スイッチ入ってるやつ怖すぎるんだって!!!
ソファー切らないで、ソファー高かったんだぞ!?
覚悟!!!
この軍刀、愛と規律の裁きを下すッ!!!
部屋の中央で“ジェイスVSジェイス”のドタバタ劇が繰り広げられる。クッションが舞い、ソファが揺れ、カーテンがばさばさと揺れた。
(展開改変版とミックス)
ちょ、ちょっと!!! やめて!!!
二人とも私のために争わないで……!!!
こっちは結婚前の平和な家庭を守りたいんだ!!!
こっちは妻の尊厳と未来を守りたいんだ!!!
(展開改変版とミックス)
私、今の状態でもう視界が真っ白なのに、音だけで修羅場ってわかるんだけど!?!? 誰か止めてよぉ!!!
カオスな空間に再び強い光が現れ、消えた頃にはなんと、グラリアはまたしても姿が変わっていた!
(表現チャレンジ版とミックス)
あれ……なんか肩が凝ってる……?
ん? 私の胸が…………ええええええええっ!?!?
おっぱい、すごく柔らかっ!!!!!
ちょ、ちょ、ちょっと待てえええええええ!?!?
今度は何だよ!? 胸がどうとか言ってる場合じゃなくて、窓割れたんだけど!? 俺、賃貸なんだぞ!?!?!?
……な、なんだこの光景は……!?
貴様、グラリア……その胸部は……もはや戦略兵器レベルではないか……。
展開改変版ジェイスは軍刀を持ったまま、目を細めて脅威度(?)を計測している。
(表現チャレンジ版とミックス)
ちょ、ちょっと待って! な、なんでいきなりこんなに柔らかいの!?
これ、私の身体!? ……えええええっ、服が……服がピチピチでボタン飛びそう……!
ドガァァン!!という音とともに、窓のガラスが派手に飛び散る!
──ふっ……やっとここに来られたか……ジェイス!!
なぜかハリウッド映画の刑事のようにサングラスを外してキメ顔の表現チャレンジ版ジェイスが現れた。ちなみにこの男、不法侵入と器物損壊罪である。
お前ぇぇぇぇぇぇぇ!!!
窓割って入ってくんなよ!?!?!? ここ俺の家!!! ガラス代どうすんの!?!?
貴様……! 軍規違反どころの話ではないぞ……!
敵地に不法侵入したうえに器物損壊……これは軍法会議案件だ!!!
いやお前も不法侵入しただろ!!!
だが貴様ら、見てみろ! グラリアの胸が進化している……!
まさに世界線を超えた“超柔軟兵器”だ! 私が調査に来たのはそのためだ……!
調査!?
調査じゃねぇ!! これ完全に泥棒か変態の動機だろ!?
なんで窓から映画のワンシーンみたいに入ってくる必要があるんだよ!?!
(表現チャレンジ版とミックス)
え、え、ちょっと……みんな私の胸ばっか見ないでよ!?
私、肩凝ってるって言ってるのに誰も揉んでくれないし!!!
……揉む……だと?(ごくり)
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
なんで軍刀持ちながらそんなこと考えてんだお前ぇぇぇぇぇ!!!!!
再び光が発生し、グラリアの姿が変わる!
(エミリア版だが他人さんグラリア)
……はぁ?
こんなプリティーな私に触れるなんて早いわ!!!
展開改変版ジェイスがグラリアの胸に触れそうになった瞬間、グラリアはアヒルの玩具を全力投球!
きゅっきゅ〜♪ 本当はお兄ちゃんのお兄ちゃんにハマりたかったけど、お兄ちゃんの軍刀にハマっちゃったっきゅ!
見事に展開改変版ジェイスの軍刀の先にハマる! カチン、と変な音が響いた。
な、なんだこれは!?
私の軍刀が……アヒルに乗っ取られただと!?
展開改変版ジェイスは軍刀を振り払おうとしても、アヒルがガッチリ固定されて取れない!
はははははっwwwww
お前、そんなアヒル一匹に振り回されるのかよwwwやっぱり俺が“本物のジェイス”だな!
黙れ……私の妻に手を出すなと言っているだろうがっ!!!
展開改変版ジェイスはアヒルがついた軍刀を無理やり構えて現実ジェイスに突きつける。そのとき、床下からドン!ドドドド!という地鳴りが――
スクープの匂いがしたから来てやったぜェェェ!!!
床下のフローリングを頭突きでかち割り、煙と木片まみれになりながらドヤ顔のエミリア版ジェイスが現れた。ちなみにこの男、不法侵入と器物損壊罪であり、ストーカー規制法違反の疑いありである。
おいいいいいいいいいいい!?!?!?!?
フローリングが割れてんじゃねえか!!! フローリングと俺と大家に謝れェ!!!!!
そんなことよりスクープの方が大事だろ?
さぁ、いい絵が撮れそうじゃないか――ジェイスVSジェイスVSジェイス、そして謎のグラリアだ!
フラッシュの光よりも前にグラリアは光り出し、またしても変身する!!!
(恋愛相談版とミックス)
え、えーーーっ!?!?
ち、知の使徒さんたち! なぜ私の姿は別のグラリアに変わってしまうのか、論理的に教えて!
光が収まった瞬間、ふわっと風呂上がりのような湯気まで漂い始める。だが……グラリアの質問に誰一人として答えられない。ホーム版ジェイスも展開改変版ジェイスも表現チャレンジ版ジェイスもエミリア版ジェイスも、口をそろえて無言。
………………(いや、論理的に説明できるわけがないだろうが……)
………………(私の妻はどれだ……?)
………………(胸のサイズまで変わるのかこの世界線……?)
………………(スクープの匂いしかしねぇ……)
そんな中、「きゅっきゅ〜♪」というアヒルの玩具のリズムが、やけに律動的に部屋に響く。そのリズムに合わせるかのように――
(風呂上がり)
ふぅ……風呂ってのはやっぱり最高だな。
って、あれ? なんだこの部屋!? きゅっきゅ〜って何の儀式だ?
まだ濡れた髪をタオルで拭きながら、バスローブ姿でヌッと現れる恋愛相談版ジェイス。もちろん風呂使用の許可など得ていない。
何でお前は勝手に風呂に入ってるんだよおおおおおおおおっ!!!
いやいや、私も急に呼ばれたのだが。
気付いたら風呂の扉の向こうがこのカオス空間に直結していた。それだけなのだよ。
ちょ、ちょっとぉ!! きゅっきゅ〜♪って何!?
なんで風呂上がりの恋愛相談版ジェイスまで増えるのよ!!!
